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近未来小説 「ロウズウォーター」 人生には「もしもあの時という言葉は通用しないかもしれない・・・・ どんなに泣き叫んでも費やした時間は取り戻せない。 それはもう十分に納得しているはずなのに、あの日だけは、許されるなら、もう一度やり直したいと思う その日は、2011年7月8日から始まる それは、抜けるような青い夏空の日に起こった。 俺はイラストレーターを志す苦学生 夜間短大に通いながら昼間は、コンビニ回りのルートデリバリーをしていた。 午前中のデリバリーを終えたので、俺は見晴らしのいい海岸通りの公園近くの空き地にハイブリット保冷車を駐車させて、昼食を摂ることにした。 昇りつめた、太陽の光が波と衝突して、発光ダイオードのように、海の色を豊かに描いていた。 午前中の早いころから仕事先のコンビニで買った豚しょうが焼き弁当を拡げ、ワンセグのインターネットテレビのスイッチをつけながら、弁当を摘んだ。 番組では国会中継の映像が飛び込んできた。 ミサイル防衛計画についての質疑で、首相は眉を掴めながら 「もしも核ミサイルが、我が国領域外で近郊を通過して同盟国本土を直撃することが判明しても、今の憲法下では、集団的自衛権が認められていないために、これを阻止する正当性を有しないことになる。 しかし考えてみてください、罪もない同盟国の人民が犠牲になる悲惨な事態を手出しせずにいる非人道的な行為を貴方たちは、法の名ものに容認しますか・・・」 語尾のテンションが徐々に揚がっていく首相の声は、俺の食欲を少し中断した。 「同盟国を守ることはすなわち、この国を守ることです。 今こそ、私達自信の手で基軸である憲法改正してこの国の進路を正していこうでわありませんか・・・」 興味がないわけではないだけに、なにごとにも筋をとおさなければ気がすまない俺は、チャンネルを転送留守番録画にして携帯を音楽に切り替えまた食事することにした。 「えーと曲は1年まえダウンロードして最近聞いていない古典スウィングのインザムードにしようかな」 曲が流れると心の羅針盤まで切り替わった 潮のほのかな香りが、車の窓越しからまた注ぎだした。 盛り返した食欲とともに俺は一気に豚しょうが焼き弁当を平らげた。 窓ごしに水平線を未来目線で眺めて 「日本の首相もカッコイイけど激務だよな一日中しかめっ面した人間ととなりあわせて仕事しなければならなし、緊張のしぱなしで心の平安など望めないだろうな・・・でも今俺の目指しているイラストレーターなんて職業も成れる確立なんて首相になるくらい狭き門だし才能にそれほど自信があるわけじゃないし・・・ああ・・・俺の将来はどうなるのかな・・・結局・・・現状維持が続くのかな」 などと俺は瞑想した。 「ああーコンパクトhdDVDプレイヤー持ってくればよかったかな」 「そういば、来週の日曜日には短大で、カラーコーディエーター2級の検定試験あるのに、勉強が捗っていないなあ」 「3級は基礎なんで比較的簡単だったけど2級はそれほど゛甘くないし・・・食べかけの林檎が目の前にあるようで、どうも落ち着かないな」 心を休めるために、リクライニッグシートを倒し、5分間ぐらい目閉じるつもりだった。 汗の匂いの染み込んだタオルで自分の顔を覆った。・・・・・ 短大のクラスメイトで火曜の「色彩学」だけ講義を受けに来る、男優りの気の強い洋子が、悲しい顔して何かを叫びながら駆け寄って来る。「武君早く逃げて」と叫んでいるようだ。・・・・・ 頭の中を導火線の火花が散る音して、額に滲む冷や汗をかきながら夢から現実へと呼び起こされた。 はるか遠くから、どこか寂しげな海鳥の泣き声が聞こえてきた。 「いったい今の夢はなんなんだ。」 腕時計を見たら午後1時半になっていた。 「しまった午後の仕事時間に30分もくい込んでしまった。」 俺はコンビニの柱時計を訝しげに眺めていた店長の視線を気にしながら、午後から一番の店を順路どうり配達した。 国道116号線を走りながら、昼休みに観た夢の中の洋子のことが気になって頭の片隅から離れにない。 交差点で信号待ちして、なぜか横を向くと、大きな窓の美容室で働くヘアーデザイナーが予告なしに目に入ってきた。 なにやら、髪の毛を掴み上げながら、お客さんと美談している様子だ 「そうだ、洋子のやつ、昼間の仕事は確か美容師の卵やっているんだったけ、この前あわてて熱い蒸しタオルを手にして、軽い火傷したとか言っていたな」 俺は信号横の美容室をさっきの夢と現実の狭間に漂う感覚で眺めていた。 後ろからクラクションが鳴って、信号が青になったのに気づかされた。 アクセルをいっぱい押し込んで、前の車が居なかったので、制限速度まで一気に加速して後続車と距離を空けた。 回りが田んぼだけの道に出たので、速度を安定させてまた夢を思い返してみた。 中島洋子には、意外な男友達がいた。 その人物には、先週の土曜曜に洋子からもらったチケットでヘアーデザインフェステバルを見に行った時に出会った。 同じデザイン関連とは言え、イラストとヘアーデザインでは、根本は同じでも現実と虚構の世界程に開きがあると感じていた俺は会場に入っても心の影に錘が引っかかっているような重苦しさを引きずって気後れしていた。 ショーが始まると、中央のステージにはスポットライトを浴びながら、ヘアーデザイナー達が数人のモデルの頭をカットし始める。 ヘアーデザイナー達の列の右側から三番目には洋子の姿があった。 持ってきたデジカメを洋子に焦点を合わせようとしても、不思議な焦りを感じてシャッターがなかなか押せないでいた。 手を振って洋子に来た事を合図することも結局ためらった。 華麗、派手、センセーショナル、といった単語が、頭の中で次々に浮かび上がり 、すぐ消えていく。 ショーを観ている人間もステージのヘアーデザイナーも、コンビニ回りドライバーの俺にとっては皆、異邦人に見えてくる。 ショーはモデル達のカットが終り髪型が洗練されてモデルの雰囲気が別人のよう変わっていた。 続いてカットされたモデル達が、ファションショーのようにモンローウォークしながら、バレリーナのように回転してできばえを披露し始めた。 ステージの大きなパネルには参加したヘアーデザイナーのアップのスライドショーが次々に映し出されてった。 一時間半くらでショーは終り、ステージの洋子に手を振れるなかった俺はせめて「ご苦労さん」の一言が言いたくて、楽屋裏に直行した。 控え室の「関係者以外立ち入り禁止」の張り紙のあるドアを開くと、大きな鏡の左片隅に洋子と見知らぬ男が、なにやら話し込んでいる。 「こんにちは、洋子・・・ショーは良かったよ」 「なんだ武じゃないか、どうしたの突然こんな所に来て相変わらす゛、武はデリカシーないね ドアの張り紙目に入らなかった。」 「ごめん洋子なら許してくれると思ってさ」 「許すよ、でも警備委員に見つからない内に、早く出て行きな」 「おいおい 、その言い方ないだろう」 「冗談だよ」 「ところで・・・隣の人は同じヘアーデザイナーの 友達なの」 「ああー彼ね、情報技術系の学生で、SEを目指してるの」 俺は息が掛かるぐらまでの距離に近づいて洋子の彼を見た一瞬、引いてしまった。 彼の風貌は一口でいえば、巨大なもやしに目鼻が付いているといった印象を受けた。 身長は俺より高いのに、腕回りは断然細く白い顔には色つき眼鏡を掛けている。 ぼそぼそと話す話し言葉のアクセントはどことなく日本人離れしていた。 男と女の関係は理屈じゃないな、とつくづく思い知らされた。 彼のあだ名は「ローズウォーター」だそうで、俺が先に「早川武です。どうぞ宜しく」と言っているのにとうとう最後まで本名を明かさなかった。 そのかわりに、「武君、綺麗な花にはとげあるという言葉を僕に会ったら思い出してほしい」と意味不明な事を言って、微笑んだ。 その時俺は、背筋に冷たいものを感じて「混乱」という言葉が頭に浮かんで、また一歩身を引いた。 だがその予感は後で、見事に的中することなど知る由もない。 視線を前に戻すと目的地のコンビニが近づきつつあった。 車を止めて洋子に連絡しようか一瞬迷ったが、結局俺は、コンビニ到着して仕事を終えると、携帯を取り出して確か昼間の仕事が休みのはずの洋子を呼び出した。 洋子の携帯とは共通ホーマットなのでテレビ電話に切り替え、早速コーリングを試みる。 「こんにちは、洋子」 「チワ武、何だよ!テレ電なんて珍しいね」 「少し話ししてもいいかな」 「もち、OK」 「いきなり聞くけど、先週紹介してもらったロウズウォーター君と付き合ってのか」 「へえー、気になる?」 「誤解するなよ、俺にとって洋子のことは只のクラスメートさ」 「なるほどね、結構なご挨拶だこと、テレ電いっしょに買った仲なのにね・・・それで何で彼との関係聞ききたいわけ」 「言いにくいんだけどさ、・・・・あいつ洋子には良くない気がする」 「何よ、ずいぶんな事行き成りに、大きなお世話よ・・・・でも無理もないかも、私も彼と合うわけじゃないのかも」 「彼のほうから寄ってきたのか?」 「・・・そうだよ」 洋子は世話好き女房のような母性本能と任侠映画の主役のような男気が混在する女で、分けもわからないものに、興味を持ったりする この前会った時も、ネットオークションで買ったといってガーナ産のコーヒーブローチを身につけて俺に自慢げに見せ付けてきた。 洋子の容姿といえば、髪が今現在のところ、さりげないライト茶髪でセミロングだが、前髪の左側を長くして視線遮るまでにアクセントをつけている 近くで話して居る時は、澄んだ大きな瞳が反射してそこに居る自分を観れるほど美形と思えることがある なのに洋子とは友達以上の一線を越えられない自分がいる その日は、吐き出せない言葉が喉の奥につかえて、胸を圧迫して息苦しさを時間を追うごとに加速する気分で、なにをやっても物事が上手くいかない気がした。 仕事をどうにかこなして、アパートに帰ると、食事もしないで、ベットの上に身を放り出して眠ろうとした・・・が。 さっきのローズウォーターなる男のことがまとわり付いて、解放されないでいる。 暫くベットでもがいていると、夢の中へやっと吸い込まれていった。 その夢とは・・・ 「海岸道路をドライブしていると天から突然小さな黒い物体が振ってきた。目の前の中央線のにころがりなら接近して来る、急ブレーキを掛けると車は、その物体の直前でとまり、車から降りて近ずいて見ると、それはワンセグだった。そしてそこから音楽が流れてくる?初めは、何の曲だかよくわからなかったが、ワンセグの画面を見た瞬間に思い出した。「幻惑されて」だ。 画面の中の人物は知る人ぞ知る、若き日のギタリスト、ジミーペイジその人だ。 そんなはずわないと思う・・・」 そこまででこの意味わからない夢から吐き出され、もう朝を迎えている事を窓からの木漏れ日で気が付かされた。 ペットから飛び起きて、冷蔵庫の中のミネラルウォーターを飲んでいるとメールの着信音が部屋中響きわたった。 ローズウォーターからだ メールにはコードCから始まる歌詞だけが書かれている。 内容は俺を腰が抜けるほど驚愕させるに値するものだ。 「1ウーぎこちなさの視線 ウー優しさの紙一重 意地悪な上り坂 緑の風に肩押され 君は君は今 白い吐息で駆け上がるヨ 滲んだ瞳 隠しきれないセピア色揺れてる 切ない夜 無じゃな笑顔にまたいつか 君らしく選んだ道には 未来に開くスミレ 千切れた情熱 繋ぎとめても伝えきれないまま 2ウー願い星数えた夜 ウー失望の紙一重 放物線の夢 知らない街を口にする 君は君は今 伏し目がちに手を振るヨ あの時瞳の奥 見つめ返せれば 僕の腕の中眠っていたかナ 立ちはだかる試練 トランクに詰め込め掛けて行くよ 君らしく選んだ道には 未来に羽ばたく小鳥 遥かな誓い 無理やり引き寄せても 君に追いつけぬまま 3ウー躊躇いの深き夜 ウー華やかさ紙一重 あふれる笑顔の君 昨日はため息ばかり 君は君は今 しがらみを振り切って走り出すヨ 頬に光る願い いとしさ踏み越えて後ろ髪消えて行く 君らしく選んだ道には 未来を描くユートピア 叶わぬ願い 明日の希望に変えて魅せられた約束残したまま」 この歌詞は俺が一年前に、フォークギター一本でメロディーを作りあげ、人知れずパソコンに書いたものだ。 当時18才だった俺は、洋子と出会う前に高校3年まで交際していた飯田瞳という女友達がいた。 それぞれの進路決めた日の夜、地下商店街のライオンの噴水の前で待合をして、店が閉まり人通りが全く途絶えた地下道を手を繋ぎゆっくりと歩いた。 二人だけの地下道は、まるで三国トンネルに居るような錯覚に陥る。 二人とも未来に繋がる出口を探していたが、進行方向は分岐していた。 足を前に進めると足音がガランとした地下道中に響き渡る。 「瞳、やはり 東京へ行くのか?」 自分の声がエコーして瞳の顔をいっそう曇らせた。 「ごめんなさい、夢だけでおわらせたくないの」 二人とも歩くのを止めて、見詰め合った。 瞳の肩にそっと手を回し、 切ない別れのキスを泣きながらした。 結局俺は、地元に残り、瞳は東京へ旅立つことになった。 それまではよくある話なのかもしれないが、その先が悲劇の序幕だった。 別れの日から、一か月も過ぎた頃?瞳が、交通事故で死んだという知らせが、両親から届けられた。 「なぜ瞳を東京へ行かせたんだ」と?俺はあの日の決断を呪った。 全ての事が空しく思えて、将来の夢であるイラストレイターの勉強もやる気を無くした。 何をやっても物事が上手くいかず、地面を見つめながら、外を歩く様な生活が続いた。 二か月もたった頃、運命の女神は、中島洋子との出会いを用意してた。 短大の特別授業を受けに来た洋子は、瞳と顔や身長それから声まで余りにも似ていた。 俺は洋子に関心を持たざるを得なかった。 だから洋子となにげない話をしている時は、瞳の面影と重なり心だけ一年まえの自分にタイムスリップする。 洋子が微笑むと、悪意で誘い込まれた迷路から抜け出れたような安心感を覚える。・・・・・ この歌詞はその時の因縁のがある?「どうして、この歌詞が外に漏れたんだ」 テーブルに手をついて心と体の揺らめきを刹那に抑えようとしている時に ローズウォーターから二回目のメールが届いた。 その内容は恐れていた通りの背筋が寒くなるものだ 「武君、君は卑怯者た゛。 今世界では、軍人が自分の信じた国のために戦地で時に泥にまみれ、時に砂ぼこりを被りながら戦っている。 自由を奪われた人が、命と引き換えに権利を取り戻そうとしている。 なのに君は、そうした現状を分かろうともせず、予定の仕事を終えたらのんびりとテレビを見ながら寛いでいるはずだ。 それは君らしくて許されることだ・・・けれど、君が先日、洋子にした電話は、僕を傷つけ大切な洋子を僕の手から奪い去るものだ。 君ははたして人を命掛けで好きになったことがあるのか? 僕は君に先日の電話の代償を払ってもらう決意をした。 忘れないでくれ、君の人生に起こりうる全ては、僕の開発したローズウォーターによって、僕の手の中にあることを。 君が気が付かずに享受してきた文明の恩恵はもはや僕が管理する立場となった。」・・・ 「いったいローズウォターとは何を意味するのだろう」 その疑問は解決される事なく、メール が届いた時から俺の身の回りに次々と不可解なことが起こった まず朝会社に出勤 してカードで出勤簿を押したが、本人確認ができない。 まるで悪魔の幻惑が動きだしたような焦燥感を覚える? その時はただのコンピューターの故障だという理由にして無理やり自分を納得させた。 作り笑いをしながら 、明美ちゃんに紙で書いた出勤時間を書いて出した。 いつもの様に、保冷車を運転してコンビニを回っていると、携帯の着信メロディー「A列車で行こう」が鳴り出した。 「そんな ・・・マナーモードにしてあるのに?」?昼 休みまで、メールを開かずに、いつもの海岸公園で駐車して、視界を占領する日本海を眺めながら、また昼食を食べた。?その後は、10分間の仮眠が習慣であるけれど、メールがそれを断念させた。 深呼吸してから、携帯を開いた。 メールには発信人も何も書いてない不審な空メールであったが、しかし添付書類があり、その内容は、一瞬では何が書いてあるのか理解できずに、仁王立ちして、もう一度メールの添付書類を読み替えした。 どうやら飛行機の操作マニュアルのコピーらしい それもよく見ると、ミサイル装着の図などから、とうやら普通の飛行機ではなくジェット戦闘機のもであることが、類推できた。 |
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